ベルギービール麦酒本舗 鹿児島の奇跡

鹿児島で唯一のベルギービールプロフェッショナル伝道師KOOHが、ベルギービール不毛の地【鹿児島】でひとりでも多くの人にベルギービールを広めていく伝道の物語

麦酒本舗、不変のテーマとは。

金曜の夕方。

スタッフ無し、体調も思わしくない中一人での営業で迎えた最初のお客様は

初来店のサラリーマンらしき男性グループ3名様。

「お洒落〜」とつぶやきながら入って来た3名は、

どんなメニューがあるのか楽しみにしている様子で席に着いた。

メニュー、おしぼりなどのセットを持って行きながら、当店のシステムなどを軽く説明。

そのとき一人のお客様が

「フリーある?」

フリー?…飲み放題の事か、それともノンアルコールビールの事か。

「キ●ンのヤツ」

あ〜、ノンアルコールビールのことですね。

この時点で、麦酒本舗とはビールバーであるとは分かっているが、

ベルギービール専門のバーだとは分かっていない様子だった。

メニューの一つを手に取り、パラパラとめくり始めたので

「そちらがベルギービールのみのメニューになります」と言ったら

「えっ!?ベルギービールってなんなん?」

さらに値段を見て

「うわ、高っ!!」

ちなみに本日のゲストビールの説明を軽くして、キョトンとしている皆さん。

「それってイクラするん?」「どれくらい入ってるの?」

どの質問の応えにも驚愕だったご様子。

そこで、ゲストビールの2種類についての特徴とどのような作られ方をし、さらにはどのような経緯でそのような作り方をするようになったかをお話しすると、グッと興味をお持ちになった様子。

さらにドンドンと質問をされてきます。

一通りお話ししたところで、いわゆる「ビール」という概念の扉は開かれたようで、とにかくそのゲストビールを飲んでみるという事に。

この2種類とは、小麦で作られたホワイトビールの代表格「ヒューガルデン・ホワイト」と、まるでワインのような香り、味わい、佇まいの「イヒテヘムズ・オウドブラウン」

もうひとつはハンドルキーパーという事でノンアルコールを。



テーブルに運ばれると、そのグラス形状の違いにお二人ともしばし無言。

1杯¥1,000以上する「ビール」としては、想像よりも小さく感じたのか。

まだ、他にお客様も見えていなかったので、しばらくその様子をそばで見させてもらいました。(笑)

3人でにおいを嗅ぎ合い、恐る恐る泡を口に。

その驚きの表情(笑)そう、この瞬間がお客様にとっても、我々提供する側にとっても一番素晴らしい瞬間。

自分の頭の中にこびりついていた常識が覆るって、何事にも代え難い快楽!!

その瞬間から、また質問攻め。

なぜこんな味になる?これもビールと呼べるの?黒ビールではないの?どうやって仕入れられるの?グラスの形に意味はあるの?なぜ、鹿児島なの?なんでこんなところ(住宅地)でやってるの?…

初めて来られるお客様の8割くらいの方がする質問。

「これはこの値段するわ…」

ベルギーの料理とか無いの?」

入った時にはベルギーがどこら辺にあるのかも知らなかった(興味も無かった)方たちが、一斉にベルギーの話題で盛り上がる。

「マスター、話が熱いわ〜!!」

売るためのトークは一切しません。

ただ、自分がこの麦酒に持つ情熱を伝えるだけ。

だからきっとガッチガチに心の扉を閉めて入って来た人たちが、すっと扉を開いてくれるのでしょうね。

その後、徐々にお客様が増え始めて、トークする事も出来なくなりましたが、楽しんで頂けたようで良かった。

スタッフたち全員が、情熱を伝えるトークが出来るようになるのはいつの日か。

まずは、自分たちが心の底から感動して、「伝えたい!」衝動に駆られないとただの営業トークになってしまうんですよね。

それはお客様からしても聞いていて楽しくなれないものになってしまいます。

お客様がなぜここに来るのか。

珍しいものが飲めるから?

イヤ違う、ここに来て楽しいと思えるから、また足を運んでくださるのです。

楽しい空間作り。

それが麦酒本舗の変わる事の無いテーマなのです。

オープン当初のKOOH



変わってしまう事もある… orz