ベルギービール麦酒本舗 鹿児島の奇跡

鹿児島で唯一のベルギービールプロフェッショナル伝道師KOOHが、ベルギービール不毛の地【鹿児島】でひとりでも多くの人にベルギービールを広めていく伝道の物語

久しぶりの取材

オープン当初はよく取材に来られたものですが、3年目にもなるとコチラからお願いでもしなければなかなか取材も来ませんよね。

ところが今回は、久しぶりに取材以来のご連絡が。

しかも業界誌の「日経レストラン」様からのご依頼でした。

なんでも、最近はどこも低価格競争で苦戦しているところが多い中

値段を下げるどころかむしろ客単価を上げる代わりに、商品への付加価値を高めて顧客満足度を上げていると評判の「麦酒本舗」というベルギービールバーがあると言う。

みたいな話しでした。(笑)

その通り。

残念ながらベルギービールの世界はとてつもなく原価が高い世界。

安売りで顧客を掴もうなんて初めから無理なんです。

それでもお客様が来ない日は無いのはなぜか。

それは一言で言ってしまえば、「ここへ来て楽しい思いが出来たから。」それしか無いでしょう。

若者のビール離れがどうとか、安い酒しか売れないとか… そんなのはちゃんと商売をする気の無い人のいいわけに聞こえて仕方が無いのです。

安くないと売れないから、大手は原価を押さえて安いお酒を造ろうと努力する。(偽物のビールだったり。)

違うでしょ?!

そんな事するからどんどん先細りしていってしまうんですよ。

もともとお酒なんてのは趣向品ですよ。贅沢品。

ケチりながら毎日偽物を飲んで贅沢をした気になるなんて本末転倒。

それなら、月に一度だけ本当に美味しいお酒を飲む方がよほど贅沢ってもんです。

そして、高いお金を払っただけの価値観をしっかりと感じて頂けるようにする事が「サービス」だと思います。

サービスマンとはその高いお酒をわざわざこのお店に来て飲んでくださる方達に、「家で飲むよりもここで飲みたい」と思って頂けるような対応をしなければ仕事をしていない事と一緒です。

商品に対する「付加価値」を与えられる仕事。それが我々サービス業の仕事なのです。

うちで例えるなら、お客様のビール選びから、その日の気分やどんな好みか、色合い的なものでも、ラベル的なものでも、もちろん味わい的な事でも何でも相談に乗れます。「うわぁ〜それ飲んでみたい!」そういって頂けるだけで、お互いが楽しくて仕方なくなります。

注ぐ時にも、そのグラスの形が持つ意味やその銘柄に隠された逸話、伝説、歴史。飲む前にどれだけイマジネーションを膨らませる事が出来るかで、そのビールに対する味わい方も変わってきます。

温度の変化での味や香りの変わり方、澱を混ぜた時の味わいの変化、そんなちょっとした事を所々で挟むだけでも、飲んでいる方はワクワクしちゃったりします。

もちろん、ただ知っているデータを押し付けるのではありません。

「こんな秘密、聞いてみたいですか?」

的な、聞いたらちょっと得しちゃうぞ!な話しをするだけでお客様のワクワク度が格段に上がるのです。

本来、サービス業の仕事ってここらへんが主だったはずですよね。

ところが、最近は外食しても、ヤッツケ感一杯で時間つぶしの仕事をしているアルバイトの子や飲み屋さんが多い事。

景気が悪いから…余計に暗い顔になってドヨ〜ンとした空気の中でまずい酒を飲む。

誰だって二度と行きたくないって思うでしょ。

小さなボトル1杯が¥1000以上するビール達がどんどん飲まれている麦酒本舗とはなんだろう。

ベルギービールが知られてきたと言っても、通販でもっと安く飲めるんです。それはお客様も重々承知。

うちの常連様達は家の冷蔵庫の中には通販で買ったベルギービールがたくさん詰まっているそうですよ(笑)

それでもわざわざお店に足を運んでくれる。

本当に有り難い事です。

先日、某大手ビール会社の方達が、飲みに来られた時にも上記のような話しを熱く語ってしまいました。

「景気が悪くてビールが売れないんですよ」って。??

「周りを見てください。一杯が缶ジュースと変わらないような値段のビールっぽいもの造っても売れないって嘆いていますが、後ろの方達は楽しんで1杯が¥1000〜¥2000もするものをバンバン飲んでいますよね。」

ここにいる人たちが皆大金持ち?!違いますよ。人はお金を使う為に働いているわけでしょ?

景気が悪い時は確かに使える範囲はしぼられてくるんですよ。だからこそ、本当に楽しめる事にお金を使いたいんじゃないですか?

こんな偉そうなことを言えるのも、本当に素晴らしいビールを作ってくれているベルギービール醸造所やインポーターの方達のおかげです。

飲み屋なんて、自分で造ったお酒を売るわけでもないし、誰かが作ってくれたものを提供して中間マージンをもらうんだから、自分たちの「仕事」として出来る事は、お客様達が家で飲む時よりも楽しいと思えるように付加価値を付ける事。それぐらいしか無いのではないでしょうか。

お店によっては、それはフォーマルな接客態度が付加価値かもしれないし、フレンドリーな雰囲気作りがそうかもしれない。

だから、不景気でも限られた外食先の一つに選んで頂けるお店作りを常に意識しなきゃいけないわけですよね。

こんな思いを日経レストランのアンケートで書いたところ、スゴく気に入ってもらえたようで本日の取材となりました。

でもね、店内写真を撮る時にさりげなくカウンター内で仕事をしていたら

「マスター!そこにいると写っちゃいます」

って言われちゃいました(笑)つまり、自分は写っていませんのであしからず。

今日はお店がマーヒーなので思わず長文のブログになってしまいました。



料理撮影時の様子。



使われた料理は誰が食べるでも無く…

そして、もちろん料理や撮影に使ったビール代金が支払われる事も無く… orz